日本のWebはそんなに「残念」、か?(仮)

英語圏のネット空間が有用な「人生のインフラ」として発展してるのに対して、日本のネットは「得意のサブカル」での盛り上がり以外にポジティブなものがなくって残念だよね、っていうお話。


日本のWebは「残念」 梅田望夫さんに聞く(前編)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0906/01/news045.html


後編もまだな上に、僕はこの人の著作(ウェブ進化論、とか)もほとんど読んでないので、ちゃんとしたコメントはちゃんと読んでからにしたい、のですけれども。取り敢えず忘れないうちに雑感だけでも。

インターネッツに、彼らは「有用さ」を求め、僕らは「楽しさ」を見つけた?

英語圏のネット空間は)もっと人生にとって必要なインフラみたいなものになってるわけ。

まずここを読んだ瞬間、いろんなことが腑に落ちたのね。これを自覚させてくれただけでも、この記事に価値があると思う。皮肉じゃなくて


アメリカのネット空間*1ってどこか「現実と地続き」で、僕が幼少のみぎりから親しんできた所謂「インターネットならではの楽しさ」と乖離がある気がするのよねって、心のどこかでそう思ってたことに、この一文は納得感のある答えをくれた気がする。
それは2chとcraigslistやAnime forums、ニコ動とyoutubemixiFacebookの違いなんかに現れてるんじゃないかと思うんだけど


一言で言うと、日本のネットサービスって、「なきゃないで生きていけるけど、あればあったで楽しいよね」ってものなんじゃね?っていう。 craigslist*2は、「売ります/買います」とか「部屋貸します/借ります」とか「彼氏彼女募集中です」みたいに、あると凄く便利な情報たちで溢れてるんだけど、2ちゃんねるってそうじゃないでしょ。
リアル絡みの例だと「隠れオタク秋葉原で飲むオフ」とか、時には人生が変わる出会いもあるかもしれないし、行ったら行ったで楽しいんだけど、なきゃないで一人でアニメ見てればいいよね、っていうレベルだったりして。少なくとも「人生のインフラ」ではないよね。
mixiも、Facebookが「リアルで会った人と交流を継続するのに必要不可欠なインフラ」みたいに見られてるのに比べると*3、どうしても「気の合う仲間と日記にコメントつけ合ってududする場所」ってイメージの方がまだ濃い気がする


これは言い過ぎかもしれないけど、僕らにとってインターネットはどこまで行っても「ちょっと後ろめたいイメージがつきまとう」*4もので、おそらくはそれ故に、「人生に少なからずのユカイをもたらしてくれる」ようなものなんじゃないかな。
それは、梅沢氏の言う「上に上がるため、自分を高めていくため」のインフラとは決定的に違うものだと思うのよね、やっぱり

■"Crowds" computingでも、いいじゃないですか。みんながニコニコできれば

サブカルチャー強いよね、日本は。それも全然否定してないよ、日本のサブカルチャー。日本発グローバルでさ。ただ僕自身がサブカルチャーはそんなに……。僕は漫画読まないしアニメみないしさあ。志向性がちがうだけで。


この部分は正直、この価値観を共有する(と自覚したい)ものの一人として、少々イラッときたんですけど、まあそれは置いておいて。
ネット空間を「自分を高めるため」のインフラとして見るなら、サブカルチャーはどこまで行っても周縁なんだろうな、と思うしかなかった、みたいな(←わかりにくい


ゆかたんが言いたかったことは(たぶん)、名もないユーザーがたくさん集まった場から、電車男でもミクの歌でも、みんなを感動させるコンテンツが生まれてきてるよ、これって日本のネットの凄くポジティブな部分なんじゃないですか、ってことだよね。
これも先の、「有用さ vs 楽しさ」みたいな話にきっとつながってて、「電車男エルメスと結ばれてめでたしめでたし。で、so what?」みたいなことだと直観的に思うわけ。
僕らみたいな愚民ピュアなネットユーザーは、喪なのに電車すげーじゃん!幸せにな(っд`) とか、物語を感情的に消費して、割と幸せな気分になったりして「俺も明日からちょっと頑張るかなっ」とか思ったりするんだけど、たぶん「自分を高めるため」に電車男を消費する人はあんまりいないと思うんだ。ほら所詮は便所の落書きだし


サブカル*5は日本がもともと強かった部分だし、Web文化がそれによって変化した訳じゃない、って切り捨てるのは簡単かもしれないけど。
「有用さ」を追求していく英語圏のネット空間とは違った形の、もっとみんながワイワイ楽しめるような空間が、日本のネットにはあるんじゃないのかなー、その先にある未来は割と楽しいんじゃないのかなー、って。
まろゆきが目指してるものも、そんな感じのものだったりするといいな、とか思いつつ


まとまりないけど、こんな感じのことを思ってみたということで


追記:
職業人として、ビジネスモデルの違いやその可能性に全く触れなかったのは、ちと拙速だったかもw
確かにニコ動は赤だし(youtubeもだけど)、craigslistはエスコート殺人とかで揉めてるけどうまいことやってる、みたいな事実はあるよね。


僕個人としては、世の中に「楽しさ」を提供してる人たちに、食うに困らないだけのお金が入って、系が持続的に回り続けられれば、おーるおっけーなんじゃないかと思うだけど、ダメ…かな?w

*1:というか、ネットコミュニティ

*2:いま住んでるNYの部屋(シェア)はcraigslistでみっけた

*3:アメリカに5ヶ月いて受けた印象。パスポートまで戻ってきたし

*4:2ちゃんねる(ないしmixi)で出会って付き合ってます、とかなかなか公にはまだ言いにくいんじゃないかな。例えば

*5:アニメがサブカルかどうかの議論はさておいて