「補償」の目的と正当性は何か

<ダビング10>7月5日軸に開始で合意 総務省の検討委


というわけで、なんとかサービス開始の見通しが立ってきたダビング10ですが、
ここまでこじれるとは予想外でした。
全然関係ないけど地アナの停波とかもこれくらいgdgdしそう


そこで、ITmediaから私的録音録画補償金に絡んで以下の記事ですが。(一部引用)


「タイムシフト目的の録画でも、製作者にフィードバック必要」

 映像制作会社や映像ソフトメーカーなどで構成する日本映像ソフト協会(JVA)はこのほど、私的録音録画のあり方についての考えを発表した。

 まず前提として、映画の著作物を自分の好きな時間・場所で鑑賞したい消費者は「パッケージを購入・レンタルいただくか、有料配信を受けていただくことが原則」と主張する。

 その上で、テレビで放送される映画について「タイムシフト目的での録画など一定限度でコピーされることは避けられない」としながらも、「映画製作者に何らのフィードバックがないままコピーされるのは正当ではない」とし、タイムシフト目的だとしても「映画を鑑賞するための私的録画は、映画の経済的価値を利用・享受するもの。製作者に対してフィードバックがあってしかるべき」と主張した。

 映画についても「私的録画による何らかの逸失利益は生じていると考えられる」と主張。「直接的な売り上げ減が生じているかどうかに関わらず、著作物の経済的価値を享受する行為からは、製作者に対するフィードバックが必要」

まず「何らかの逸失利益」という言い回しが非常に気になる。
意味合いとしては「テレビで放映された映画をHDDレコーダーなんかに録画して繰り返しみられたら、誰も高い金出してDVDなんか買わなくなるじゃん。DVDの売上が減ったかどうかはよく知らないけど、それでもレコーダーがなければもっと売れたはずだ(から補償金よこせ)」といったところでしょうか。
恣意的に聞こえましたらすみません。でも他に意味合いとりにくいし。
でもそうしたら現行の技術的枠組みの中でもコピー禁止のフラグ立てておけばいいだけなんじゃないかと思いますが。
コンシューマに利便性を提供するサービスの開発に努力しない癖に新しいものに対しては権利だけ視聴する、と後ろ指さされてもしょうがないと思うよ。個人的には。


下に貼ったコラムで本田さんも書いてますが、「補償」という概念に対する大きな隔たりが、我々コンシューマと「著作権利者」の間にあるように思えてならない。
・無料で全国に一斉送信してるテレビ番組を、別の場所・時間で視聴する行為
 e.g. x月x日・21時から放送の「天空の城ラピュタ」を録画し、帰宅後の当日24時からビール片手にムスカの勇士を視聴
・対価を支払って購入・レンタルした映像・音楽コンテンツを、別の場所・時間で視聴する行為
 e.g. けやき坂下のTSUTAYAで借りたKOTOKO*1のCDをEACリッピングiPod nanoに転送、仕事中にテンションをあげるため視聴


iPodやHDDレコーダーといった機器(と機器を用いて提供されるサービス)が、上記のようなフレキシブルな視聴形態を可能にした場合、
(当然、現行の著作権法では十分に想定されていなかった自体だけど、それはまた立法府と官僚の怠慢の問題)
・「誰に」― 権利者?放送事業者?whoever else?
・「どのような不利益が」― 金銭的=経済的?精神的(あるのか)?
・「どのくらい発生するのか」― measurableだとして、の話だが
といった点について全く議論がなされていない現状こそが問題だと思う。マジメに議論すると困る人がいるんだろうが。


正直、自分が借りてきたCDをiPodで聞こうがPSPで聞こうがCLIEで聞こうが、「聞く回数が増えた」以上のどんな効果も起きないし、
仮に地上波でのラピュタの放映がなかったとして、HDDレコーダーにラピュタを録画したユーザーの何%が実際にDVDを買う/借りるだろうか。
(というか、権利者は実際に局から放映料もらって放映してるんじゃないのか。その額の多寡は録画回数の多さに関係あるのか)


これだけ多くの人が言及していることについて、彼らの中で議論が進まないことを訝しく思います。
取り敢えずダビ10だけは始めてくれないと、いつまでたってものりたま氏からマクロスFが借りられない罠。


「私的録音録画補償金の見直しについて」の検討結果に対する当協会の意見
本田雅一のAV Trends - 補償金制度への「さらに大きくなった」疑問

*1:朝はやはり七転八起☆至上主義!から始めるのがベスト